太陽光発電
薄型軽量太陽光パネルの設置・導入事例と更なる活用方法について徹底解説!
電気料金高騰への対応策や環境負荷軽減を目的として太陽光発電パネル設置を検討する企業は年々増加傾向にあります。一方で、店舗・倉庫・工場といった折板屋根が採用されている建物においては、電気使用量の多さに比例する投資対効果が期待できる一方で、耐荷重の課題から導入を断念してしまうケースも増えています。このような課題を解決するべく登場したのが、薄型軽量太陽光パネルです。
太陽光パネルにおいては、投資によりどのような効果が実際に見込まれるかのイメージを具体的に行うことが難しく、導入を希望しているものの検討がなかなか進まないというご担当者の方もいることでしょう。
本記事では、薄型軽量太陽光パネルの導入事例を採り上げ、投資回収年数から太陽光パネルによる発電電力を最大限に活用する方法まで詳しく解説いたします。
薄型軽量太陽光パネルとは
従来型パネルの1/3~1/2の荷重
薄型軽量太陽光パネルは、従来型太陽光パネルと同等レベルの発電効率を持ち、荷重が従来型太陽光パネルの1/3~1/2に設計されている画期的な製品です。
耐荷重の課題から従来型太陽光パネルの導入を断念した店舗・工場・倉庫等であっても、薄型軽量太陽光パネルであれば導入できる可能性があります。
また、導入は検討したものの、設置可能な枚数が少なく、十分な発電効果が見込めない場所であっても、投資対効果を見込むことができる可能性があります。
薄型軽量太陽光パネルの詳細については、別記事にて詳しく解説しております。
薄型軽量太陽光パネルの導入事例
(カー用品店舗)
この記事ではカー用品店舗における薄型軽量太陽光パネル導入事例について、詳しく見ていきます。
導入の背景
こちらのカー用品店舗では燃料価格に伴う、電気料金の高騰が課題となっていました。電気料金削減に有効な手段として太陽光パネルの設置を検討したものの、店舗が折板屋根を採用している建物であるため、従来型の重い太陽光パネルの設置が厳しく、導入の障害となっていました。
そこで、従来型太陽光パネルの耐荷重の課題を解決する薄型軽量太陽光パネルを採用することとしました。
導入設備とシミュレーション
いくつか種類がある薄型軽量太陽光パネルの中で、今回はフレキシブル太陽光パネルを採用いたしました。
荷重は約5.1kg/㎡と、従来型太陽光パネル*(約10.7kg/㎡)のおおよそ半分となっている製品です。
*弊社取扱従来型太陽光パネル
パネル枚数は245枚、パネル総出力にして105.35kWとなりました。また、発電シミュレーションにおいては、年間発電量:97,920kWhとなりました。
今回の事例では、自治体の補助金を2つ併用しての設置となり、投資回収は約7年(補助金を含まない場合:約14年)と試算されました。
投資対効果が高い太陽光パネル設置には、導入検討時の丁寧なシミュレーションが欠かせません。
自家消費型の太陽光パネル設置においては、設置可能上限までパネル枚数を増やせば良いというわけではありません。蓄電池を併設しない限り、建物で消費しきれず余剰電力が無駄となってしまいます。
建物における電力使用状況を踏まえた、最適なパネル枚数のシミュレーションには下記のような資料が必要となります。
用途 | 必要資料 |
---|---|
発電量計算 | 屋根伏図 |
平面図(屋根伏図が無い場合) | |
立面図 | |
自家消費量計算 | 月間30分毎使用量ファイル(1年分) |
電気料金明細書(1年分) | |
現地調査・見積 | 配置図 |
断面図 | |
受変電設備 単線結線図 |
設置の流れと導入スケジュール
ここでは実際にカー用品店舗にて太陽光パネルを導入した際のスケジュールを見ていきましょう。
2023年度の事業者向けパネル補助金を利用しての設置です。
それぞれのステップの実施時期を記載しております。全体として1年強のプロジェクトとなりました。
補助金には申請期限等があるため、逆算したスケジューリングが必要となります。
補助金の申請に必要な資料等や手続き、審査や入金までの期間は各自治体により異なるため、スムーズに申請が進められるよう事前に確認しておく必要があります。
補助金を利用しない場合は、約半年のプロジェクトと考えて頂くと良いと思います。
また、投資対効果が高い太陽光パネル設置には、導入検討時の丁寧なシミュレーションが欠かせません。
自家消費型の太陽光パネル設置においては、設置可能上限までパネル枚数を増やせば良いというわけではありません。蓄電池を併設しない限り、建物で消費しきれず余剰電力が無駄となってしまいます。
建物における電力使用状況を踏まえた、最適なパネル枚数のシミュレーションには下記のような資料が必要となります。
用途 | 必要資料 |
---|---|
発電量計算 | 屋根伏図 |
平面図(屋根伏図が無い場合) | |
立面図 | |
自家消費量計算 | 月間30分毎使用量ファイル(1年分) |
電気料金明細書(1年分) | |
現地調査・見積 | 配置図 |
断面図 | |
受変電設備 単線結線図 |
薄型軽量太陽光パネルの設置方法と工事の流れは別記事にて詳しく解説しております。
投資による効果
太陽光パネルの設置後は、発電電力の自家消費による電気料金削減効果が期待通りに出ているかをチェックする必要があります。
こちらのカー用品店舗における、2024年4月から9月の発電状況を見ていきます。
2024年4月~9月計で、3割強の買電量削減(≒電気料金削減)となりました。
削減率を月別に見てみると、最高41.0%(5月)、最低27.8%(7月)という結果となっております。
導入先の電力使用状況によって、全体の消費電力のうち何%を発電電力で賄えるかは異なるため、必ず導入前にシミュレーションを実施して、削減効果の試算を行う事が重要です。
発電電力を最大限活用するには、「ためる」が重要
前述のとおり、建物で消費しきれない余剰電力が無駄となってしまうことは必ずおさえておきましょう。
実際に今回の導入事例でも、余剰電力は発生してしまっています。どのくらい余剰電力が発生してしまうかを見てみましょう。
2024年4月~9月計で、2割強の発電量損失(=余剰)となりました。
損失率を月別に見てみると、最低8.7%(7月)、最高39.0%(5月)という結果となっております。
理論的には、発電量が多い時間帯に建物での電力使用量が多ければ損失は少なくなりますが、シミュレーションを丁寧に実施したとしても、気象条件や店舗・工場の稼働時間等によって発電量が左右されるため、余剰電力の発生は避けられません。
売電を実施しない自家消費型太陽光発電の場合には、余剰電力はそのまま無駄となってしまいます。
この余剰電力を活用し、電気料金削減効果を高めるのみならず、発電電力を防災やBCP等に役立てられるのが「蓄電池」です。
蓄電池による余剰発電電力の充放電
名前の通り、夜間には発電できないことや、荒天時の発電量が期待できない事が太陽光パネルの課題と言えます。
太陽光パネルが満足に発電できない時には、従前どおり系統電力から買電しての電力利用となります。もちろん日中だけの太陽光発電であっても十分に電気料金の削減にはなりますが、昼間に余剰電力が発生してしまう以上、太陽光パネルが持つポテンシャルを最大限に発揮出来ているとは言い難いです。
この課題を解決するための方法として、蓄電池による「ためる」が挙げられます。
昼間に余剰した電力を蓄電池にため、発電が出来ない夜間等の時間帯に蓄電池からの放電電力を建物で利用します。これにより、余剰電力が無駄にならず、夜間等であっても太陽光発電電力を間接的に利用でき、電気料金の削減効果を向上させることが可能です。
停電時の事業継続(BCP)・社会貢献
蓄電は停電対策にも大きな効果を発揮します。電力会社からの系統電力が停止してしまった際、蓄電池から建物に放電することで、事業の継続が可能です。また、蓄電池単体では蓄電量を使い切ってしまえば電力供給は終了ですが、太陽光パネルが設置されているため、昼間は発電電力をそのまま利用し、夜間は蓄電池に充電された余剰電力の放電で、停電時でも長期間の電力利用が可能となります。
事業継続は勿論、停電時の災害拠点として地域からの信頼が得られることもポイントです。
環境に優しい再生可能エネルギーを利用しているだけでなく、地域社会への貢献にも効果を発揮することから、太陽光パネルおよび蓄電池の設置はサステナビリティの観点で非常に有効な取り組みと言えます。
設置・導入のご相談はEVエコホームにて承ります
我々EVエコホーム(株式会社アイエーエナジー)ではグループ会社店舗への太陽光パネル設置において、フレキシブル太陽光パネルを活用して同様の課題を解決した経験があるからこそ、太陽光パネル設置に課題を持つ貴社に最適なご提案が可能です。