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コラム

【2026年8月27日公募開始】ストレージパリティ補助金・令和8年度二次公募を徹底解説|東京都・神奈川県の補助金との併用も

【2026年8月27日公募開始】ストレージパリティ補助金・令和8年度二次公募を徹底解説|東京都・神奈川県の補助金との併用も

令和8年度「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」の二次公募が2026年8月27日に開始。締切は10月2日正午。補助単価(太陽光4〜5万円/kW、産業用蓄電池3.9万円/kWh)、上限6,000万円、新設のJC-STAR要件、東京都・神奈川県の補助金との併用可否まで法人向けに解説します。

2026年8月27日、環境省の代表的な脱炭素補助金である「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」(以下、ストレージパリティ補助金)の令和8年度・二次公募が開始されました。申請の締切は2026年10月2日(金)正午です。

この制度は、自社の工場・倉庫・店舗・事務所の屋根や敷地に「自家消費型の太陽光発電+蓄電池」をセットで導入する事業者に対して、太陽光は1kWあたり4〜5万円、産業用蓄電池は1kWhあたり3.9万円という定額の補助単価が設定されており、1事業あたり最大6,000万円が交付されます。電気料金の高止まりとデマンド料金の負担、そして取引先から求められるCO2削減。この3つを同時に解決したい事業者にとって、令和8年度で最も使い勝手のよい国庫補助金のひとつです。

一方で、二次公募からは「JC-STAR★1以上のラベル取得製品でなければ申請を受け付けない」という新しい要件が加わりました。また、東京都や神奈川県が独自に実施している事業者向け補助金と組み合わせられるのかどうかは、多くのお客様からご質問をいただくポイントです。

この記事では、EVエコホームの主要営業エリアである東京都・神奈川県の制度との併用も含めて、ストレージパリティ補助金の全体像を法人担当者の目線で整理します。

1.【速報】令和8年度ストレージパリティ補助金・二次公募が2026年8月27日にスタート

まずは、今回の二次公募の骨格を押さえておきましょう。実施団体は一般財団法人 環境イノベーション情報機構(EIC)です。

項目 内容
正式名称 令和8年度当初予算 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業)のうち ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
執行団体 一般財団法人 環境イノベーション情報機構(EIC)
一次公募 2026年7月9日(木)〜7月31日(金)正午 ※受付終了
二次公募 2026年8月27日(木)〜10月2日(金)正午
申請方法 Jグランツによる電子申請のみ(郵送・メール不可)
事前準備 GビズIDプライムの取得が必須
補助事業の実施期限 2027年1月29日(金)
補助単価(太陽光) 4万円/kW(自己所有等)/5万円/kW(第三者所有のオンサイトPPA・リース)
補助単価(産業用蓄電池) 3.9万円/kWh(補助対象経費の1/3が上限)
交付上限額 太陽光2,000万円+蓄電池・充放電設備4,000万円=合計6,000万円
主な必須要件 太陽光と蓄電池のセット導入/自家消費率50%以上/FIT・FIP非認定/JC-STAR★1以上
ここがポイント
  • 締切は2026年10月2日(金)正午。「17時まで」ではなく正午である点に注意。
  • Jグランツでの電子申請にはGビズIDプライムが必要。取得には日数がかかるため、未取得の場合は今すぐ着手を。
  • 事業完了期限は2027年1月29日。工事・支払い・実績報告までを逆算すると、実質的な工期は非常にタイトです。

2.そもそも「ストレージパリティ」とは?

蓄電池を「入れたほうが得」になる状態のこと

ストレージパリティ(Storage Parity)とは、「蓄電池を導入しない場合と比べて、導入したほうが経済的なメリットが上回る状態」を指す言葉です。

太陽光発電だけを導入した場合、発電が需要を上回る時間帯の電力は捨てる(出力制御する)か、売電するしかありません。ここに蓄電池を組み合わせると、次の3つの価値が生まれます。

・余剰電力を貯めて夕方・夜間に自家消費できる
・デマンド(最大需要電力)を抑えて基本料金を引き下げられる
・停電時にも重要負荷へ電力を供給できる(BCP対策)

特に2番目の「基本料金の低減」は、高圧受電の工場・倉庫にとって年間数十万〜数百万円規模のインパクトになることも珍しくありません。

環境省はこの状態を早期に実現するため、蓄電池の価格が下がるまでの間、補助金で差額を埋めるという政策をとっています。これがストレージパリティ補助金の基本思想です。

国は蓄電池の「目標価格」を年々引き下げている

この制度の特徴は、補助対象となる蓄電池に価格上限(目標価格)が設定されていることです。目標価格は年々引き下げられており、「高い機器に補助金を出し続ける」のではなく「価格低減を促す」設計になっています。

区分 目標価格(工事費込み・税抜)
産業用蓄電池 11.8万円/kWh 以下
家庭用蓄電池 11.5万円/kWh 以下

つまり、この価格を超える見積りでは補助対象になりません。機器選定と価格交渉の段階から、この上限を意識した設計が必要です。EVエコホームでは、この目標価格をクリアできるメーカー・型番の組み合わせを前提に見積りを作成しています。

3.補助対象者と3つの事業形態

補助対象となるのは「民間企業等」

補助事業者になれるのは、おおむね以下のとおりです。

・民間企業(法人)
・青色申告を行っている個人事業主
・学校法人、医療法人、社会福祉法人、一般社団法人、協同組合 など
・独立行政法人、国立大学法人 など

一方、地方公共団体および青色申告を行っていない個人は、補助事業者にはなれません。ただし、オンサイトPPAやリースの「需要家(電力を使う側)」として共同事業者に加わることは可能です。

業種の制限は基本的になく、製造業・物流・小売・医療・介護・教育など幅広い事業者が対象になります。

自己所有・オンサイトPPA・リースの3形態

ストレージパリティ補助金は、設備を「誰が所有するか」によって3つの事業形態に分かれ、補助単価も変わります。

事業形態 設備の所有者 需要家の支払い 太陽光の補助単価
自己所有 需要家自身 初期投資(自己資金・融資) 4万円/kW
オンサイトPPA(第三者所有) PPA事業者 発電量に応じた従量課金 5万円/kW
リース(第三者所有) リース会社 毎月定額のリース料 5万円/kW
PPA・リースのうち需要家と資本関係がある事業者による場合 関係会社 同上 4万円/kW
ここがポイント
  • 初期費用ゼロで導入できるオンサイトPPA・リースのほうが、太陽光の補助単価が1万円/kW高く設定されています。
  • これは、初期投資の負担なく再エネを導入できる第三者所有モデルを国が後押ししているためです。
  • ただし、グループ会社など資本関係のある事業者を挟む場合は、自己所有と同じ4万円/kWとなります。

4.補助単価と上限額をまとめて確認

令和8年度の補助単価は以下のとおりです。補助率ではなく「定額単価×容量」で決まるため、導入容量が決まれば補助額をかなり正確に試算できます。

補助対象設備 補助単価 補足
太陽光発電設備(自己所有/資本関係のあるPPA・リース) 4万円/kW
太陽光発電設備(オンサイトPPA・リース=第三者所有) 5万円/kW
定置用蓄電池(産業用) 3.9万円/kWh 補助対象経費の1/3が上限
定置用蓄電池(家庭用) 3.8万円/kWh 補助対象経費の1/3が上限
車載型蓄電池(EV・PHEV) 蓄電容量の1/2に4万円を乗じた額
充放電設備(V2H)・付帯設備 公募要領の別表による 事前に個別確認が必要
区分 上限額
太陽光発電設備 2,000万円
蓄電池・充放電設備 4,000万円
1事業あたり合計 6,000万円

たとえば、太陽光250kW+産業用蓄電池200kWhを自己所有で導入した場合、国からの補助額は次のように試算できます。

・太陽光:250kW × 4万円 = 1,000万円
・蓄電池:200kWh × 3.9万円 = 780万円
・合計:1,780万円

これに東京都や神奈川県の補助金を重ねられるかどうかで、投資回収年数は大きく変わります。併用については、この記事の後半で詳しく解説します。

5.申請要件チェックリスト|見落としやすい条件

ストレージパリティ補助金は単価が明快な一方、要件はかなり細かく設定されています。ここでは、実務でつまずきやすいポイントを中心に整理します。

No. 要件 内容
1 蓄電池のセット導入 太陽光発電設備と併せて定置用蓄電池または車載型蓄電池を導入すること(ペロブスカイト太陽電池の場合のみ蓄電池単独申請の例外あり)
2 太陽光の出力 戸建住宅以外は10kW以上
3 蓄電池の容量 戸建住宅以外は20kWh以上
4 自家消費率 50%以上
5 費用効率性 CO2削減量あたり40,000円/t-CO2以下(太陽光発電設備が対象)
6 FIT・FIP 認定を受けていないこと(自家消費が主目的であること)
7 逆潮流 戸建住宅以外は原則、逆潮流防止装置(RPR)の設置が必要
8 パワコン 自立運転機能付きパワーコンディショナを導入すること
9 JC-STAR IP通信機能を有する機器は★1以上のラベル取得製品であること(二次公募からの新要件)
10 着手時期 交付決定日以降に発注・契約・着工・納品・支払いを行うこと

特に注意したい「自家消費率50%以上」と「費用効率性」

「自家消費率50%以上」とは、発電した電力の半分以上を自社で使い切る設計にする、ということです。日中の稼働が少ない事業所や、休日が多い施設では、過大な容量の太陽光を載せると要件を満たせなくなります。需要データ(30分デマンドデータ)にもとづいた容量設計が不可欠です。

「費用効率性40,000円/t-CO2以下」は、「補助金額 ÷ 事業期間中のCO2削減量」が4万円を下回っている必要がある、という条件です。日射条件が悪い立地や、設置コストが極端に高い案件では、この数値をクリアできないことがあります。

ここがポイント
  • 要件のうち、もっとも多くの案件がつまずくのは「交付決定日以降の着手」です。
  • 「採択されるかわからないので先に工事を進めておく」「業者に言われて先に発注した」といった理由は一切認められず、補助対象外となります。
  • 契約書・注文書の日付が交付決定日より前になっていないか、必ずご確認ください。

6.【二次公募の新要件】JC-STAR★1以上とは何か

IoT機器のセキュリティ適合ラベル制度

令和8年度の二次公募から新たに必須となったのが、JC-STAR(ジェイシースター)への適合です。

JC-STARは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運用する「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度」の通称で、IoT製品を対象とした制度です。インターネットに接続される機器が最低限のセキュリティ要件を満たしていることを星の数(★1〜★4)で示すもので、★1適合ラベルの交付は2025年5月から始まりました。

ストレージパリティ補助金では、「IP通信機能を有する補助対象設備は、JC-STAR適合ラベル(★1以上)を取得した製品であること」が求められ、未取得製品を含む申請は受理されません。

どの機器が対象になるのか

一般的に、以下のような機器がIP通信機能を持つ設備として該当します。

・パワーコンディショナ(通信機能付き)
・定置用蓄電池システム(遠隔監視機能付き)
・EMS(エネルギーマネジメントシステム)/HEMS・BEMS
・遠隔監視装置・計測制御ユニット

ここがポイント
  • JC-STARは比較的新しい制度のため、メーカー・型番によってラベル取得状況にばらつきがあります。
  • 「いつも使っている機器だから大丈夫」とは限りません。設計段階でIPAの公開リストと突き合わせ、ラベル取得済みの型番で見積り・申請書類を作成することが、二次公募における最大の実務ポイントです。
  • EVエコホームでは、JC-STARの取得状況を確認したうえで機器構成をご提案しています。

7.申請の流れとスケジュール

ステップ1:GビズIDプライムを取得する

申請はJグランツ(補助金電子申請システム)からのみ受け付けられます。Jグランツを利用するには、GビズIDプライムアカウントが必要です。すでに他の補助金で取得済みであればそのまま使えますが、未取得の場合は発行までに一定の日数を要します。10月2日の締切から逆算し、最優先で着手してください。

ステップ2:設備設計・見積り・書類作成

申請には、以下のような資料の準備が必要になります。

・事業計画書(様式)
・電力使用実績(デマンドデータ等)と自家消費率の算定根拠
・CO2削減量および費用効率性の計算書
・設備の仕様書・型番一覧(JC-STARラベル取得状況を含む)
・見積書(機器・工事の内訳がわかるもの)
・屋根伏図・単線結線図・レイアウト図 など

ステップ3:Jグランツから電子申請(10月2日正午まで)

時期 やること
〜2026年9月上旬 GビズIDプライム取得/現地調査・デマンドデータ取得
2026年9月中旬 設備設計・見積り確定・JC-STAR適合確認
2026年9月下旬 申請書類の作成・社内決裁
2026年10月2日(金)正午 Jグランツで申請提出(締切)
2026年10〜11月頃 審査・交付決定
交付決定後 契約・発注・着工 ※交付決定前の着手は対象外
2027年1月29日(金) 補助事業の完了期限(工事完了・支払い完了)
ここがポイント
  • 交付決定から事業完了期限(2027年1月29日)までの期間は、実質2〜3か月程度しかありません。
  • 納期の長い蓄電池やパワーコンディショナを採用する場合、納期リスクが採択後の最大の課題になります。
  • 在庫・納期を確認したうえでの機種選定が重要です。

8.東京都の補助金との併用|地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業

東京都内の事業者向け・最大2億円の助成制度

東京都(公益財団法人 東京都環境公社/クール・ネット東京)が実施する事業者向けの代表的な制度が「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業(都内設置)」です。都内の施設に自家消費目的の再エネ設備を導入する民間事業者を対象に、助成率方式で支援されます。

項目 内容
実施主体 公益財団法人 東京都環境公社(クール・ネット東京)
対象者 都内に事業所を有する民間事業者(民間企業・学校法人・医療法人・社会福祉法人 等)
対象設備 太陽光発電、風力、小水力、地熱、バイオマス発電、再エネ熱利用設備、蓄電池
助成率(再エネ発電等設備) 中小企業等:2/3以内/その他事業者:1/2以内
助成率(熱利用設備・蓄電池) 中小企業等:3/4以内/その他事業者:2/3以内
上限額 1事業あたり2億円
蓄電池単独設置の上限額 中小企業等:900万円/その他:800万円
蓄電池の容量上限 再エネ発電設備の発電容量×5時間分まで
申請受付期間 令和8年4月1日〜令和9年3月31日 17:00必着(予算到達時点で終了)
主な要件 FIT・FIP非認定/年間発電量が需要先の年間消費電力量の範囲内/都内施設で自家消費/見積書2社以上/交付決定後の契約

ストレージパリティ補助金との併用は可能か

結論から言うと、制度上「併用そのものが禁止されている」わけではありません。ストレージパリティ補助金のQ&Aでも、国や地方公共団体の他の補助金との併用について「補助金適正化法の二重補助の禁止に抵触しないこと」を条件に併用可能である旨が示されています。

ここでの「二重補助の禁止」とは、同一の補助対象経費に対して複数の補助金を重ねて受け取ってはいけないというルールです。したがって実務上は、次のような調整が必要になります。

・太陽光の経費は国、蓄電池の経費は都、といった経費の切り分けを行う
・あるいは、都の助成対象経費から国庫補助金相当額を控除して助成額を算定する

国への申請様式にも、併用する地方公共団体の補助金名・交付予定額・補助対象経費を記載する欄が設けられており、機構側で妥当性が確認される仕組みになっています。

ここがポイント
  • 東京都の助成金は「他の都の資金を原資とする助成金との重複受給は不可」と明記されている一方、国庫補助金と併用する場合の助成額の算定方法は、案件ごとの経費区分によって判断が分かれます。
  • 必ず申請前にクール・ネット東京の窓口へ事前相談を行い、経費区分の考え方について確認を取ってください。
  • EVエコホームでは、この事前相談の資料作成からご支援しています。

9.神奈川県の補助金との併用|自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金

太陽光8万円/kW+蓄電池5万円/kWhの定額補助

神奈川県が実施する「令和8年度神奈川県自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金」は、県内に自家消費型の再エネ設備を導入する事業者向けの制度です。東京都が助成率方式なのに対し、神奈川県は国と同じ定額単価方式を採用しているため、補助額の試算がしやすいのが特徴です。

項目 内容
対象者 法人または青色申告を行っている個人事業者(個人住宅は対象外/リース等事業者による実施も可)
対象設備 太陽光発電(10kW以上、ソーラーシェアリング含む)、風力・水力・地熱・バイオマス発電、蓄電システム
補助単価(太陽光) 8万円/kW(かながわ脱炭素チャレンジ中小企業認証を受けている場合は+2万円/kW=10万円/kW)
補助単価(蓄電システム) 5万円/kWh(上限500万円または補助対象経費のいずれか低い額)
上限額 中小企業等:補助対象経費が上限/中小企業等以外:3,000万円または補助対象経費のいずれか低い額
予算額 9億9,300万円
受付開始 令和8年4月30日〜(先着順、補助枠に達した時点で終了)
主な要件 県内設置/FIT・FIP非認定/蓄電池は再エネ発電設備との併設が条件/交付決定前の着手は対象外/令和9年3月31日までに完了

「かながわ脱炭素チャレンジ中小企業認証制度」で単価が上乗せに

神奈川県内の中小企業であれば、かながわ脱炭素チャレンジ中小企業認証制度の認証を取得することで、太陽光の補助単価が1kWあたり2万円上乗せされ、10万円/kWになります。100kWの太陽光であれば200万円の差です。認証の取得には一定の手続きと期間が必要なため、設備導入を検討し始めた段階で並行して準備を進めるのが得策です。

国の補助金との併用が「可能」と明記されている

神奈川県の制度で重要なのは、県のホームページに「本補助金は、国・県内市町村の補助金等と併用可能です」と明記されている点です。

ただし、これは無条件に単純合算できるという意味ではありません。国のストレージパリティ補助金側で二重補助の禁止が適用されるため、同一経費への重複計上は認められません。実際の申請にあたっては、県と国の双方に併用の意向を伝え、経費区分の整理を行う必要があります。

ここがポイント
  • 東京都と神奈川県では、制度設計の考え方が異なります。
  • 東京都は助成率方式(中小企業等2/3・上限2億円)で、大規模案件ほど金額のインパクトが大きくなります。
  • 神奈川県は定額単価方式(太陽光8〜10万円/kW・蓄電池5万円/kWh)で、中小規模の案件でも確実に効きます。
  • 神奈川県は先着順で予算到達により受付終了となるため、年度後半になるほど枠が埋まるリスクが高まります。

10.併用シミュレーション|モデルケースで考える

ここでは、実際にどの程度の補助が見込めるのかをモデルケースで整理します。あくまで単価をもとにした理論値であり、二重補助の禁止に基づく経費区分の結果によって実際の交付額は変動します。

ケース1:神奈川県内の中小製造業(横浜市の工場)

・設備:自家消費型太陽光 100kW + 産業用蓄電池 100kWh(自己所有)
・かながわ脱炭素チャレンジ中小企業認証:取得済み

補助金 対象 単価 補助額
国(ストレージパリティ) 太陽光100kW 4万円/kW 400万円
国(ストレージパリティ) 蓄電池100kWh 3.9万円/kWh 390万円
神奈川県 太陽光100kW 10万円/kW(認証加算後) 1,000万円
神奈川県 蓄電池100kWh 5万円/kWh 500万円(上限内)
単純合算した場合の理論値 2,290万円

ただし前述のとおり、同一の設備・同一の経費に国と県の補助金を重ねて充当することはできません。実務上は「太陽光の経費は県、蓄電池の経費は国」といった形で経費を区分し、補助対象経費の総額を超えない範囲で組み立てることになります。どの組み合わせが最も有利になるかは、機器構成と工事費の内訳によって変わるため、設計段階での試算が投資判断を左右します。

ケース2:東京都内の物流倉庫(中小企業)

・設備:自家消費型太陽光 300kW + 産業用蓄電池 300kWh(自己所有)
・東京都「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業(都内設置)」を活用

補助金 方式 試算の考え方 補助額の目安
国(ストレージパリティ) 定額 太陽光300kW×4万円=1,200万円(上限2,000万円内)/蓄電池300kWh×3.9万円=1,170万円(上限4,000万円内) 2,370万円
東京都(地産地消型) 助成率 中小企業等:再エネ発電設備は助成対象経費の2/3以内、蓄電池は3/4以内(上限2億円) 経費区分により変動

東京都の制度は助成率方式のため、補助対象経費をどう区分するかによって助成額が大きく変わります。国庫補助を受けた経費を都の助成対象経費から除外する必要があるのか、それとも設備単位で切り分けるのか——ここは案件ごとの判断になるため、事前相談が必須です。

ここがポイント
  • 「国と自治体の両方をフルに受け取れる」と安易に想定して事業計画を立てると、交付決定後に減額調整が入り、投資回収計画が崩れることがあります。
  • 保守的な前提(どちらか一方をメインに据える)で採算を確認し、上振れを取りにいくという組み立て方が安全です。

11.よくある質問(FAQ)

Q1. 太陽光だけを導入したいのですが、申請できますか?

原則できません。ストレージパリティ補助金は、太陽光発電設備と蓄電池(定置用または車載型)を同時に導入する事業が対象です。例外として、ペロブスカイト太陽電池を導入する場合に限り、定置用蓄電池のみの申請が認められています。

Q2. すでに設置済みの太陽光に蓄電池を後付けする場合は対象になりますか?

本事業は太陽光と蓄電池のセット導入が前提のため、既設太陽光への蓄電池単独の後付けは対象外です。この場合は、東京都の「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業(蓄電池単独設置)」など、自治体の制度をご検討ください。

Q3. 交付決定前に契約や工事を進めてしまいました。あとから申請できますか?

できません。交付決定日より前の発注・契約・納品・着工・支払いは、いずれも補助対象外です。「知らなかった」「施工業者に指示された」といった理由も認められません。

Q4. 申請すれば必ず採択されますか?

いいえ。予算に限りがあり、要件審査のうえで交付決定されます。予算に達した場合は締切前に受付が終了する可能性もあります。

Q5. 東京都と神奈川県の補助金は、国の補助金と本当に併用できますか?

制度上は併用可能とされていますが、同一の補助対象経費に対する重複受給は認められません。神奈川県は「国・県内市町村の補助金等と併用可能」と明記しています。東京都については、国庫補助との経費区分の考え方について事前相談での確認をおすすめします。

Q6. JC-STARのラベルを持っていない機器は本当に使えないのですか?

はい。二次公募からは、IP通信機能を有する補助対象設備についてJC-STAR★1以上のラベル取得製品であることが必須とされ、未取得製品を含む申請は受理されません。

Q7. 自家消費率50%以上を満たせるかどうかは、どう確認すればよいですか?

電力会社から取得できる30分単位のデマンドデータと、設置予定容量の発電シミュレーションを重ね合わせて判定します。EVエコホームでは、このシミュレーションを無料で実施しています。

Q8. リースやPPAでも補助金は使えますか?

使えます。むしろ第三者所有(オンサイトPPA・リース)のほうが太陽光の補助単価は5万円/kWと高く設定されています。この場合、補助事業者はPPA事業者・リース会社となり、需要家は共同事業者として参加します。

12.まとめ|10月2日の締切までにやるべきこと

令和8年度ストレージパリティ補助金・二次公募のポイントを、あらためて整理します。

ここがポイント
  • 公募期間は2026年8月27日〜10月2日(金)正午。締切は正午である点に注意。
  • 補助単価は太陽光4〜5万円/kW、産業用蓄電池3.9万円/kWh、上限は合計6,000万円。
  • 太陽光と蓄電池のセット導入が必須。自家消費率50%以上、FIT・FIP非認定などの要件あり。
  • 二次公募からはJC-STAR★1以上が新たに必須要件に。機器選定の段階から確認が必要。
  • 交付決定前の着手は一切対象外。事業完了期限は2027年1月29日。
  • 東京都・神奈川県の補助金との併用は可能だが、二重補助の禁止に基づく経費区分が前提。神奈川県は先着順のため早期申請が有利。

締切までの期間は決して長くありません。GビズIDの取得、デマンドデータの取得、JC-STAR適合機器での見積り作成——この3つを並行して進める必要があります。

EVエコホームがご支援できること

EVエコホーム(アイエーエナジー株式会社)は、東京都・神奈川県を中心とした一都三県で、自家消費型太陽光発電・産業用蓄電池・EV充電器・V2Hの設計施工を行っています。

・デマンドデータにもとづく容量設計と自家消費率シミュレーション
・JC-STAR適合状況を踏まえた機器選定・見積り作成
・国/東京都/神奈川県の補助金の併用可否の整理と申請書類の作成支援
・交付決定から事業完了期限までを見据えた工程管理

「うちの屋根で採算が合うのか知りたい」「今から二次公募に間に合うのか相談したい」という段階でも構いません。まずはお気軽にお問い合わせください。

出典・参考リンク

・一般財団法人 環境イノベーション情報機構「【公募のお知らせ】令和8年度当初予算 ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業の公募について」
https://www.eic.or.jp/eic/topics/2026/st_r08/1st/
・クール・ネット東京「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業(都内設置・蓄電池単独設置)」
https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/chisan/
・神奈川県「令和8年度神奈川県自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金」
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ap4/images/jikashouhi.html
・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR)」
https://www.ipa.go.jp/security/jc-star/index.html

※本記事は2026年8月31日時点の公開情報にもとづいて作成しています。制度内容は変更される場合があるため、申請にあたっては必ず公募要領等の一次情報をご確認ください。