コラム
EV(電気自動車)の「SoH」とは?愛車の価値を守る秘訣は「普通充電」にあり!

EV(電気自動車)が身近な存在になるにつれて、「航続距離」や「充電時間」といった言葉を耳にする機会も増えました。しかし、もう一つ、EVと長く付き合っていく上で非常に大切な指標があることをご存知でしょうか。それが、バッテリーの健康状態を示す「SoH」です。
今回は、このSoHとは何か、どうすれば確認できるのか、そしてどうすれば良好な状態を維持できるのかについて、分かりやすく解説していきます。この記事を読めば、あなたのEVライフがより豊かで、安心なものになるはずです。
1. SoH(エスオーエイチ)とは?
SoHとは、「State of Health」の略で、日本語では「健全度」と訳されます。簡単に言えば、「新品の状態を100%とした時に、現在のバッテリーがどれくらいの性能を維持しているか」を示す指標です。スマートフォンのバッテリー設定画面に表示される「最大容量」と同じもの、と考えるとイメージしやすいかもしれません。
EVのバッテリーは、充放電を繰り返したり、時間の経過とともに少しずつ劣化していきます。この劣化が進むとSoHの数値が低下し、具体的には以下のような影響が現れます。
・満充電時の航続距離が短くなる
・充電できる電気の量が減る
SoHはEVの日々の使い勝手に影響するのはもちろん、EVの将来的な資産価値にも直結する重要な指標でもあります。
2. 愛車のSoHを確認する方法
では、自分の愛車のSoHは、どうすれば確認できるのでしょうか。実は、メーカーや車種によって確認方法が異なります。ここでは代表的な車種を例にご紹介します。
日産(リーフ、サクラなど)
日産車の場合は、車両のメーターパネル内で比較的簡単に確認できます。多くのモデルでは、EV情報画面から「バッテリー情報」などを選択すると、バッテリー容量計(12セグメントで表示)を確認できます。このセグメントの数が、SoHの目安となります。
テスラ(モデル3、モデルYなど)
テスラ車の場合、車内のタッチスクリーンから「コントロール」 > 「サービス」 > 「バッテリー健全性」メニューを選択することで、新車時と比較した現在のバッテリーの状態を確認することができます。また、細かな環境の条件を満たす必要がありますが、より正確なバッテリーの状態を確認するために「バッテリー健全性テスト」を実行することもできます。
参照先:TESLA | 高電圧バッテリーの健全性に関する情報
その他の車種(ヒョンデ IONIQ 5、 BYD ATTO 3など)
上記以外の多くの車種では、ユーザーが直接SoHを確認できる機能が搭載されていないので、定期点検の際にディーラーで確認してもらうのが最も確実な方法です。専門の診断機を用いることで、詳細なバッテリーの状態を把握できます。
ご自身の車での確認方法が不明な場合は、まず車両の取扱説明書を確認するか、購入したディーラーに問い合わせてみることをお勧めします。
3. SoHを良好に保つための4つのポイント
SoHを確認することでEVの健康状態を確認することが判りましたが、日々EVを使用していく中でバッテリーの劣化は避けられません。ですが、日々の乗り方や充電方法を少し工夫するだけで、その進行を緩やかにし、SoHを良好に保つことが可能です。大切な愛車と長く付き合うために、ぜひ以下の4つのポイントを意識してみてください。
1.満充電・過放電を避ける(腹八分目充電)
リチウムイオンバッテリーは、100%の満充電や0%に近い状態(過放電)が続くと、内部に負荷がかかり劣化が進みやすくなります。日常的な利用では、充電量を20%~80%の間に保つのが理想的とされています。長距離移動の前などを除き、普段は80%程度までの充電に設定しておく「腹八分目充電」を心がけましょう。
2.急加速・急減速を控えた穏やかな運転
急なアクセル操作や急ブレーキは、バッテリーに大きな電流を流すため、負荷が大きくなります。穏やかでスムーズな運転を心がけることは、電力消費を抑え(電費向上)、バッテリーへの負担を軽減する効果があります。
3.高温環境下での駐車・充電を避ける
バッテリーは高温に弱いという性質があります。特に真夏の炎天下での長時間駐車や、直射日光が当たる場所での充電は、バッテリーの温度を上昇させ、劣化を早める原因になります。可能な限り、屋内や日陰の駐車場を利用しましょう。
4.日常の充電は「普通充電」を基本にする
これが最も重要なポイントです。外出先などで素早く充電できる「急速充電」は非常に便利ですが、高い電圧と電流で一気に電気を送り込むため、バッテリーへの負荷が大きく、熱も発生しやすくなります。一方、自宅や職場などで利用する「普通充電」は、低い出力でゆっくりと時間をかけて充電するため、バッテリーへの負担が少なく、発熱も穏やかです。
急速充電はあくまで「必要な時だけ利用する」と割り切り、普段の充電はバッテリーに優しい「普通充電」を基本とすることが、SoHを長く維持するための最大の秘訣と言えるでしょう。
4. まとめ:EVの価値を守る鍵は「普通充電」にあり
EVのバッテリー状態を示す「SoH」。それは、航続距離や利便性だけでなく、愛車の資産価値にも関わる大切な指標です。SoHの劣化を完全に防ぐことはできませんが、日々のちょっとした心がけでその進行を遅らせることは十分に可能です。
特に、日常的な充電のベースを「普通充電」にすることは、バッテリーをいたわり、SoHを良好に保つ上で非常に効果的です。急速充電の便利さに頼りすぎず、自宅での普通充電を習慣づけることが、結果的に愛車と長く、そして賢く付き合っていくことに繋がります。
「自分の車にあった充電器が知りたい」「充電器の違いがわからない」などのご相談も、どうぞお気軽にEVエコホームまでお問い合わせください。